2006年02月27日

「ベロニカは死ぬことにした」




毎日が退屈でたまらないとき、
自分のことが好きになれないとき、
えもいわれぬ喪失感に苛まれるとき、
きっとこの作品は底辺からすくい上げてくれるだろう。

原作の作家パウロ・コエーリョが、
女性に人気だというのがわかるような気がします。

どっかで人生が退屈だと思っている。
主人公のように、生きる喜びを見出したいと思っている。

毎日全然退屈ではなく、
自分のことは(別に根拠はないけど)結構好きで、
充実しすぎて逆にちょっとお疲れぎみの私が、
この映画からちょっと元気をもらえたから。


大好きな本は後にとっておく。
その間にどうでもいい本ばかり読んでしまって、
結局大好きな本は読まず終い・・・。

そう、やりたいこととは、すぐにしないと腐ってしまう。
ちょっと置いておくと、どうでもいい事になってしまう。
前向きな自分の気持ちも腐っていく。


主演の真木よう子さんも迫真の演技でしたが、
脇を固める俳優さんたちの顔ぶれもまた・・・。
なかでも、荻野目慶子さんに近づいた(?)中嶋朋子さんが素敵でした。
自分を自分から解放するなんて、想像もつかないことですが、
解放するってあんな感じなのかな、と思わせる。
飛んでましたから、彼女。

音楽には疎い私ですが、
この作品の音楽は、きっと凄いんだと思いました。
「ニュー・シネマ・パラダイス」のアンドレア・モリコーネという人が
やっています。
どれだけ凄い人なのか分からないのが恥ずかしいところですが、
映画が終わったらあれをしよう、これもしよう、という思いを
かなり後押ししてくれました。


公式サイト
ベロニカは死ぬことにした@映画生活
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2006年02月14日

「カミュなんて知らない」




新生ユーロスペース、初鑑賞です。
椅子に段差がつけてあり、前席の方のアタマが気にならない。
椅子も程よい堅さで快適でした。
シネアミューズやル・シネマとハシゴしやすい立地もなかなかです。
ただひとつ、トイレの壁が白すぎて眩しいことを除けば・・・。


さて、本題の映画「カミュなんて知らない」。

知ラナイです、私も。
異邦人もカミュも、作中で多数引用されている古き良き映画も。
そんな私でも楽しめたのですから、
昔の作品をよくご存じの方は、もっと奥深く楽しめるのではないでしょうか。

知らない私でもわかったのは、冒頭の長回し。
大学の正門から部室まで、
主要メンバーが次々に登場するところ。

ある二人のメンバーが、構内を歩きながら、
過去の(恐らく有名な)映画の長回しについて語っているところで気付いた。
あ、これも長回しじゃないの。
・・・と思ったら、ほどなく長回し終了。
ちゃんと見ている人は、もっと早く気付くのだろうな・・・。

監督が実際に大学で数ヶ月講師を務め、
撮影も実際の大学構内で学生のエキストラを募って行ったため、
今どきの学生の生態がリアルに描かれている


と何かの雑誌に書いてありました。

ほんと、リアルです。
サークルという一つの集団における人間関係、
カリスマ性がありイニシアチブを取る者と追随する者とか、
男女の恋愛感情とか、
一つのものを追求し、追求しすぎて爆発し、
だけど最後には達成感を味わう感じとか、
まさに青春映画です。

この映画がただの青春映画で終わらないのは、
実際の殺人事件を(作中の)映画のモチーフにすることによって、
人を殺す感覚がどのようなものか、
殺すときの精神状態は異常か正常か、
というテーマを観客にも投げかけ、
登場人物たちにも激しく議論させている点にあると思う。

フッと「殺したらどうなるかと思って」と思うなど、
今どきの高校生の考えることは理解に苦しむ、
などと一蹴できるだろうか。

包丁を手にしたとき、
人を刺すってどんな感覚だろう、なんて、
誰でも一度は「フッと」感じたことはないだろうか。

それを行動に移すか否かが、
殺人者とそうでない人の理性の境界線でしかないのでは・・・。

まあそんなことはさておき、
本当に殺してしまったのではないかと、見終わった後も不安が残るくらい、
ラストの殺人シーンは衝撃的でした。

48才の田口トモロヲさんが、
35才の学生役を極めて自然に演じているのも、
ある意味、圧巻です。
教授役の本田博太郎さんと6つしか違わないなんて・・・。


公式サイト
カミュなんて知らない@映画生活
posted by hanabi666 at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

「三年身籠る」




三年もお腹の中に赤ん坊がいたら、
生まれた後は空を飛べるような身軽さかも・・・。

いや、この映画の趣旨はそんな想像ではない。


なぜか十月十日を過ぎても生まれ出ない我が子を抱え、
淡々とお腹の子供に語りかける主人公。

三時間おきの授乳がなくて楽で良いわね、と
どこまでもポジティブ志向の母。
その母、つまり主人公の祖母と主人公の妹やおばさん。
父親は不在。(なぜ不在なのか、原作を読めばわかるのだろうか?)

女は強い。


女子の集団(妻の親戚、女性ばかり)にひとり放り込まれた男子(夫)は、
壁の花みたいに存在感が薄い。
集団の外でしか自己主張ができないから、愛人の元に走るのだろう。
どこかでは自分の権力を保ちたいという願望のようにも思える。


その夫、
子供にまったく無関心で、身重の妻を気遣うこともない。
あることがきっかけで父性に目覚め、急に妻を気遣い始めるが、
今こういう役を飄々と演ってしまうのは、
西島秀俊をおいてほかにいないだろう。
30才を過ぎた今、魅力全開ではないでしょうか。


変貌を遂げる夫に対して、
主人公は、冒頭から一貫してマイペース。
お腹の子のために耳栓をして外部の雑音を遮断したり、
大きすぎるお腹に向けられる奇異の目をものともせず、
ゆっくりゆったり、つとめて平安に日々を過ごす。
夫に愛人がいることも承知の上。
自分の妹との軽い浮気に気付いたときの反応も淡々としたもの。

主人公の母としての(?)強さを軸に、夫が変化する。
夫を包み込む、母のような存在の妻、ともいえる。

女(母)は強い。


主人公の妹と、その恋人の関係も、同じような傾向かと・・・。
軸となるのは若い妹。
そして、若い恋人に合わせようとする(振り回されている?)中年男子。
でも実は、父親のような包容力で、男性が我が儘な小娘を包み込む。

最後に逆転。男もなかなかやりますね。


公式サイト
三年身籠る@映画生活
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2006年02月07日

「あおげば尊し」




子供から「なぜ死体の写真を見てはいけないのか」と聞かれたら、
明確な返答ができるだろうか。

常識的に良くない、と言っても、世間の常識など子供には通用しないもの。

死は尊いものだから、死体写真は見せ物にしてはいけない、と言っても、
じゃあその尊い写真から学べることはないのか。

結局、死体写真なんて見るもんじゃない、と逃げ切るしかない。

作中の教師も、
何故死に興味を持つのか、
何故生きることに興味を持たないのか、
と生徒に問いかける。

生きることに興味を持つことは、方向性としては間違っていないと思う。
未来ある子供たちには、過去よりこれからのことを考えて欲しい。

ただ、それでは子供の疑問に答えていない。

「なぜ死体写真を見てはいけないのか?」


教育って難しい・・・。


死の床にある自分の父親と対面させることにより、
子供に死の意味を考えさせようとする。
でも、考えさせられたのは、
死とは何かを生徒に説明できずにいた教師(大人)の方かもしれない。
これから先、自分も親の死に直面する時が来ると思うと、
決して人ごとではない。


欲しいもの、したいことを父親に聞こうとする主人公を諭す
妻(薬師丸ひろ子)の台詞が印象的だった。
「何かを欲しいとか、何かがしたいとかって、エネルギーがいることなのよ」

もう、末期癌で介護を受けている父親には、
そんなエネルギーすら残っていない・・・。
何かを求めるということは、生に対する執着なのかもしれない。
子供がいろんなことを知りたがるのも、
今生きていることの、まさに証なのかも。


親の死と向き合うことと、生徒に人の死を教えること。
ベテラン教師でさえ一筋縄ではいかないこの問題を、
テリー伊藤がしっとりと演じていました。
テレビで見かける軽い感じのノリからは想像もつかない、
素敵な一面を見せていただきました。



そして、
ラストの「あおげは尊し」斉唱で一気に涙腺が・・・。

あの唄、ただでさえウルウルくるのに、
あんな使い方されたら、涙止まりませんよ。

しかし、出演者の若い教師が言っていましたが、
最近は卒業式で使われることが少ないんですね。
名曲だと思うのですが。



公式サイト
あおげば尊し@映画生活
posted by hanabi666 at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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