2006年10月07日

「ゆれる」




見終わった後の余韻がたまりません。

「こまでと見たことのなかった演技」と評されるオダギリジョー、
「背中ひとつで見るものを圧倒する」香川照之、
まさにその通り!

でもこの余韻は彼等の演技だけではなく、
きっと西川監督のオリジナルの脚本あってこそ、ではないでしょうか。
家族の絆を描いた「蛇イチゴ」もなかなか後を引く作品でしたし。
でも「ゆれる」は後を引くどころの話ではないです。

兄は犯罪を犯したのか、それとも事故か?
そこから生まれるさまざまな疑問。

弟と同僚の女性がこれ以上親しくならないように、
吊橋を渡って弟の所へいこうとする彼女を止めようとしたのは本当だろう。
二人の関係に敏感に気づいていたし、
都会で活躍する弟に彼女が惹かれ、自分から離れていく危機も感じたと思う。
では、ゆれる吊橋の上でバランスを崩した彼女を、
支えようとしたのか、突き飛ばしたのか?

計画的犯行ではないにしろ、
一時の感情の昂ぶりから、彼女を突き飛ばしてしまうことは大いに考えられる。
でも、それならなぜ正直に法廷でそう述べないのか。
本当に支えようとしたのか?


弟が兄をかばったのは、人殺しの弟になるのが嫌だからか、
それとも兄への愛からか?
兄の暴言が原因で、兄をかばうことをやめてしまったように見えるが、
あの一瞬でこころがゆれたのだろうか?

現場を目撃したが兄をかばったのか、
本当に見ていなくてただ正直に証言していたのか。
兄の暴言で見ていないものを見たような気になったのか。


なかなか解釈に苦しむ、というか想像力を掻き立てられます。

刑務所を出所した兄の、弟に投げる視線の意味、
今更ながら兄を連れ帰ろうとする弟の感情、
もう、日がたつにたれ謎は深まるばかり。

キム兄の出演も楽しみの一つでしたが、
ちょっとそれはもうどうでも良くなってきました。
だれかこの数々の疑問の答えを教えてください。


「ゆれる」公式サイト
ゆれる@映画生活
posted by hanabi666 at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月25日

「バッシング」




実際の人質事件が起きたとき、
わたしも多くの日本人がそうであったように、
「人命尊重論」→「自己責任論」の波に乗った。

ボランティア精神は素晴らしいと思う。
彼女が人質になり、解放のために様々な機関が動いたりしなければ。

主人公・有子は、何をしてもうまく行かなかった。
自分を必要としてくれる人は日本にはいなかったが、
「向こうの人たち、特に子供たち」には必要とされ、
自分の存在意義を「向こう」に見出した。
人間、誰かに認められたいと思うのは普通だし、
誰かに必要とされればその誰かに尽くしたいと思うだろう。
そういう意味で、有子は極めて純粋な人間と思う。

やや幼稚な感は否めないけれど、その点は理解できなくもない。が、
人質になったことによる影響の大きさを理解しているだろうか。

コンビニで、おでんを一つずつ容器に入れ、おつゆもたっぷり、
なんてはた迷惑な注文の仕方を何度も繰り返す。
それが誰かに迷惑をかけているなどとは微塵も感じないようだ。
自分の行動が周りにどのような影響を与えるかに思い及ばない有子には、
自分に向けられたバッシングの原因がわからなくて当然だろう。

そんな思いやりが持てないまま、ボランティア精神を振りかざされても、
自己満足にしか見えない。
・・・いや、有子はボランティア精神を振りかざしてはいないんだった。
自分の存在意義を見出す場所を探しているだけ。

「私、何か悪いことした?」
この一言で不快指数は極限に達した。
鑑賞後も気分の悪いこと。
観た人の感情に何かしら影響を与えるという点で、何かを考えさせるという点で、
この作品はじゅうぶん成功している。

再び「向こう」に向かう主人公に餞別を渡す継母。
ギクシャクしていた関係が最後に軟化するのは、
有子の前途を示唆してのことだろうか。

「ひとりの女性が日本を捨てた−。彼女が彼女であるために。」


人生をリスタートする有子は救われたかもしれないが、
そのための犠牲を思うと、何とも後味の悪い再出発だ。


取り上げた題材が理由で、日本での公開は見送られてきたそう。
上映劇場もまだ少ないようだけれど、
少しは話題になって、たくさんの人に観て欲しいと思う。



公式サイト
(「約一週間で撮影した」といった撮影話から、
このテーマを取り上げるに至った経緯まで、監督のインタビューが載っています。)
バッシング@映画生活
posted by hanabi666 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月21日

「やわらかい生活」




蒲田なんて下町が舞台で、
タイトルもソフトな感じで、
チラシの解説からも脱力系のお話と見て取れたので、
ほんわかしたムードを期待しておりました。

ほんわかしていないわけではないのですが、
「心に風邪を引いた」登場人物たち、現実的にはけっこうシビアな状況です。
でもそのシビアさと共存しながら、
「こんなこともあるよね」と強かに生きようとするところが、
「粋じゃない下町、蒲田」に合っているというか。

あまり書くとネタバレになってしまいますが、
公式サイトで、
カニリカさん(放送作家・脚本家)の寄せられたコメントが
まさにその通り!と思いましたので、引用させていただきます。


「やわらかい生活」という優しい響きのタイトルに惹かれて、

ひょっとして癒されるんじゃないかと期待しつつ、

ひとりでこの作品を観たとしたら、

あなたは低温火傷をしてしまう。

誰かを失うことの大きさと怖さと寂しさが

じわじわと押し寄せてきて、

ヒリヒリとした痛さが胸に沁みてくる。

でも、人はそれでも生きていかなければならない。

その強さを教えてくれるのが、

この「やわらかい生活」。




個人的には、大森南朋さんの出番が少なかったのが残念ですが、
豊川悦司の歌声を初めて聴くことができたので、まあ良しとしましょう。
(喋る声からはちょっと想像できない、いい歌声でした)

歌声以外の魅力ももちろんありますのでご安心を。
自分は奥さんと別居したり愛人に振られたりしたダメ男なのに、
従兄弟である主人公・優子(寺島しのぶ)には、
無限の包容力を思わせる態度で接する。
もうどうしてそんなに優しいのか。
本人、あまり優しくしている気がなさそうなところがまた・・・。


蒲田に馴染みのある方は見知った場所がたくさん出てきますし、
心に風邪を引いちゃった方は「心配しなくて大丈夫なんだ」って
きっと感じられるだろうし、
トヨエツのいい男ぶりを堪能することもできるし、
いろいろな楽しみ方ができる一品と思います。


公式サイト
やわらかい生活@映画生活
posted by hanabi666 at 10:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月20日

「初恋」




未解決のまま時効になり、
いろいろな憶測をもとに何度かドラマ化された3億円強奪事件。
今でいうと30億に相当するらしいとてつもない金額を、
女子高生が強奪したというストーリー。

実際に、現職警官の19才の息子が主犯ではないかという説もあったそうです。
もっとも、その少年は事件から五日後に自殺してしまい、
真相はわからず終い。

なので、実行犯が女子高生、という解釈もまったく突飛な発想ではないと思う。
でもこれは、初恋のお話です。

初恋ですから、もちろんプラトニック。
想いすら口に出せない。
女性なら主人公みすずに、男性なら岸に、きっと共感できるでしょう。
みすずの、岸を思う気持ち。
自分を必要だと言ってくれる人のためなら何でもできる。
若さ故、と言ってしまえばそれまでですが、
それが恋、たぶん。

主人公が思いを寄せる岸(小出恵介)や、
ジャズ喫茶にたむろするグループのリーダー・亮(宮崎将)といった男性陣が、
昭和の男子らしく無口で自分の気持ちをすぐ口走らないところも、
想像力をかき立てられます。

そして私はどうも宮崎あおいに弱い。
特に、彼女の涙に弱い。
決して美人とはいえないしい、
かわいいけど鼻ぺちゃだし、
笑った顔なんて「私ってかわいいでしょ」オーラ出まくりだけど、
そんなことはどうでもよくなるくらい、
彼女の涙は凄い。

彼を待ち続けて憔悴し、道端にへばりこむシーンも、
切なさがあふれ出ています。
(憔悴している割には血色はいいけど、許そう。)
ケータイ刑事も成長したなあ、と深い感慨を覚えました。
岸役の小出恵介との共演作も公開を控えているそう。
今度はどんな役を演ってくれるのだろう。

この映画で、小出恵介に対する見方も少し変わった。
ドラマを数回見たことがあるだけだが、
今どきの軽い感じの男子という印象しかなかった。
「初恋」に出るんだ、今どきの顔なのに。いくら髪型を昭和仕様にしても・・・、
という気持ちは変わらないが、
岸役が良かったせいか、ドラマの彼も何故か少し凛々しく見えてしまう。
岸が良かったんだよ、岸が。
でも、宮崎あおいとの共演作は少し期待してしまう。


公式サイト−3億円事件トリビアもあります。
初恋@映画生活
posted by hanabi666 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月13日

「間宮兄弟」




至るところに小ネタが散りばめられていて、
見ている間中、ずーっと場内がクスクス言ってました。

男同士の兄弟って、あんなに仲が良いものなのでしょうか?
いや、実際はあんな感じではないからこそ、
この物語は成立するのでしょう、きっと。

男同士の兄弟だけれど、なんだかメルヘンチック。
少年の心をもった大人たちというより、
乙女チックな男子といった感じ。
「恋は修正きかないもんな」なんて、乙女の言葉だよー。

佐々木蔵之介と塚ちゃんのコンビがぴったりでした。
二人でコントを、なんて(冗談)話があるみたいですが、
確かに、ドランクドラゴンよりいい感じのコンビになるかも・・・。

テレビでもけっこう宣伝されていたせいか、
劇場には若者が殺到していました。
夜6時の会なのに立ち見が出ていましたから、
整理券を発行している劇場に行かれる方は、
早めに取っておいた方がいいと思います。


公式サイト
間宮兄弟@映画生活
posted by hanabi666 at 01:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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